カタログやパンフレットなど、いわゆる冊子を作るにも
製本仕様はさまざま。
よく目にするだけでも、次のようなものがあります。
・中綴じ
・無線綴じ
・スクラム製本
・糊綴じ
・上製本
いずれも、ページをまとめるという機能は同じですが、
コストや納期、仕上がりのイメージなどが異なります。
ここでは、その中でもよく使用される「中綴じ」「無線綴じ」の違いを中心に、
その使い分けを考えてみましょう。
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情報量による使い分け
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「中綴じ」は、見開きのページの中央2か所を
針金で綴じる製本仕様です。
基本的に、ページ数は4の倍数になります。
8ページ、12ページ、16ページ、20ページ・・・・・・
ページ数の少ないパンフレットや情報誌に多く使用されています。
冊子を作るのに、最も手軽でポピュラーな方式。
「無線綴じ」は、紙を折ってページ順に並べたものを
いくつか重ねて背を糊で固め、表紙でくるむ製本仕様。
本文は16の倍数にすると効率的ですが、
2ページ単位での増減も可能。
ページ数の多いカタログなどによく使用されています。
「中綴じ」と「無線綴じ」は一般的には情報量、
つまりページ数によって使い分けされることがほとんどです。
100ページを超えるような「中綴じ」は
ほとんど見かけませんよね。
コストと納期にも違いがあります。
同じページ数であれば「無線綴じ」よりも「中綴じ」が安価。
納期的にも「中綴じ」の方が早いです。
「コスト」と「納期」そして「情報量」
基本的にはこの3要素をもって仕様が決定されます。
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長期的に使用するならば
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「コスト」「納期」「情報量」
この3要素以外にも、忘れてはならないことがあります。
それは「目的」と「用途」です。
「中綴じ」と「無線綴じ」には見た目に大きな違いがあります。
それは「背」があるかないか。
「背」があることで存在感が際立ちます。
本棚に収納した際、「中綴じ」は「背」がないため
一見しただけでは何の本かが分からず、
存在感が埋没してしまうことも。
一方「無線綴じ」は、「背」がその存在を主張してくれます。
オフィス用品のカタログであれば、
配布後、書棚に収納される可能性は十分に考えられること。
長期的に存在感を示せるかは重要なポイントなのです。
「背」が直角に近く、書棚でもしっかりと立ちやすい、
糊で固めているので、針金よりも強度が高いなど
長期保管にも優れています。
何よりも高級感が違いますよね。
より高級感を演出したい、
あるいは記念誌などの一生モノであれば
「上製本」といった選択もあります。
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使用される環境にも配慮を
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使用される場所にも注意が必要です。
最も手軽でポピュラーな「中綴じ」ですが、
二つのリスクから、使用を敬遠されるケースがあります。
一つは安全性。
特に、小さな子供や高齢者にとって、針金の使用は
指先のけがにつながるリスクが高まります。
幼稚園や保育園、あるいは介護施設で使用される
パンフレットや情報誌であれば、配慮が必要です。
二つ目に異物混入のリスク。
繰り返しの使用で、綴じ部分に負荷がかかり
針金が外れてしまう可能性もゼロではありません。
食品メーカーや飲食店、製薬会社や病院等にとって
現場での異物混入は、絶対に避けなければならないリスク。
このような場所で使用される可能性があるならば、
やはり「中綴じ」は避けるべきでしょう。
ページ数が少ないのであれば、
「スクラム製本」「糊綴じ」という選択もあります。
製本仕様を決める際には、
やはり「情報量」が一番の鍵にはなります。
しかしながら選択肢は一つではありません。
「コスト」や「納期」だけにとらわれることなく、
「用途」「目的」にも焦点をあて、最適な製本仕様を選びたいですね。