カタログや冊子の注文をいただく際、
次のような要望をいただくことがあります。
「裏が透けない紙にしたい」
裏面の文字や写真が透けてしまうと、
読みにくくなるのではないか。
それを心配してのことでしょう。
その気持ちはよく分かります。
気持ちは理解できるのですが、
ここではあえて言わせていただきます。
「紙は透けるもの」なんです。
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厚さでは解決できない
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カタログや冊子の印刷では、
コート紙やマットコート紙、上質紙など
さまざまな用紙が使用されます。
中でも、55kg~135kgまでの連量から
選択されることがほとんど。
絵柄にもよりますが、例え最も厚い135kgを選んだとしても、
透けてしまうことに変わりはありません。
厚手のカタログや冊子の場合、
表紙に180kgや220kgの紙が使用されることもありますが、
それでも同様。
厚みが増すことで、ある程度の軽減は図れますが、
透かして見れば、やはり裏面は見えてしまいます。
そうなんです。
「紙は透けるもの」なんです。
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印刷物の目的を考える
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ところで皆さん、会社の備品はどちらで購入していますか。
通販を利用されている方もきっと多いと思います。
オフィスの中に、事務用品・オフィス用品のカタログが
一冊くらいはあるのではないでしょうか。
これらのカタログ。
その多くは、本文が55kgよりさらに薄い紙を使用しています。
おそらく裏面が透けて見えているはず。
果たして気になるでしょうか!?
事務用品・オフィス用品のカタログの目的は、
大きく次の2点でしょう。
・必要な商品が見つけられる
・必要なときにすぐに注文ができる
裏面が透けていることで、商品が判別できない、
注文番号や金額が読み取れない、
このようなことがあれば大きな問題です。
一方、商品の判別ができ、注文がスムーズにできるならば
このカタログは、目的を果たしていると言えるでしょう。
そうです。
考えるべきは、その印刷物の目的です。
もちろん、印刷物の目的によっては、
裏面が透けてはダメなケースもあります。
例えば、スクラッチカード。
透かして見ると「当たり」「ハズレ」が分かるようでは
まずいですよね。
そういう場合は、決して透けない紙を選択すべき。
しかし、そうした特別な事情がない限り、
裏が透けることを、過度に気にする必要はないのです。
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使う人の立場になって
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まずは目的を果たすこと。
その上でさらに用紙を検討するポイントは
「利便性」と「イメージ」です。
先ほど一例として挙げた「事務用品・オフィス用品カタログ」
1,000ページを超えるものも珍しくありません。
手にしただけでも結構ズッシリときます。
このカタログ、裏面の透け感を軽減しようと
仮に本文を90kgの紙にしたらどうなるか。
カタログの総重量は、なんと4kgを超えてしまいます。
とても手軽には扱えません。
問題は重さだけではありません。
一般的に紙の厚さが増せば、コシも強くなります。
「うどんのコシ」と同じ「コシ」です。
コシが強くなるとページがめくりづらくなります。
せっかく目的のページを開いても、手を離したら
カタログが閉じてしまったなんてことも。
ページがめくりやすい。
目的のページを開いたままにできる。
紙が薄いことが「利便性」を向上させることにも
つながっているのです。
さらに、掲載されている中身と紙のイメージを合わせることも
ポイントの一つ。
新聞の折込チラシを見ると分かりやすいかもしれません。
マンションや高級車のチラシは厚手の紙が使用されることが多く、
スーパーの特売チラシであれば、薄い紙がほとんど。
これが逆だとちょっと違和感がありますよね。
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それでも気になるときは
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それでも裏面が透けるのを軽減したい。
そんなときは「書籍用紙」を使用してみるのも一つ。
「書籍用紙」とは、名前のとおり
書籍の本文を印刷するための紙です。
書籍用紙には以下のような特徴があります。
・厚みがあるのに軽い
・色(クリーム色)がついているものがある
これによって、比較的「透けにくい」紙になっています。
ビジネス書などをご覧いただくと実感できるはずです。
ただし、裏面が透けることを完全に無くすものではありません。
「紙は透けるもの」
これだけは押さえておいてください。
印刷物を発注する立場であれば、気がかりなのも当然。
心配なときは、お気軽にご相談くださいね。